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2025年9月11日
ノリタケ株式会社
半導体向け回路形成用銅ナノペースト、スラリーを販売開始
~銅ナノ粒子をノリタケがスケールアップ製造、三菱商事グループとともに市場展開~
ノリタケ株式会社 (本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:東山 明、以下 ノリタケ) は、200℃以下かつ窒素雰囲気※1下で焼結が可能な銅ナノ粒子を含むペースト、スラリーの販売を開始します。本製品は、北海道大学が開発した銅ナノ粒子を、ノリタケの微粒子製造技術により製造量を拡大したことで製品化に至りました。ノリタケは、三菱商事グループとともに、これらを半導体モジュール向け回路形成用途として販売を進めます。
■市場環境
プリント基板の製造において、フォトリソグラフィ※2を用いた電子回路形成では、基板全体に銅膜を形成した後、不要な部分を薬品で除去することで回路パターンを形成しますが、除去された銅は、多くの場合、廃棄されています。また、使用される薬品は腐食性が高いため、環境への配慮から削減が求められています。
これに対し、近年研究が進んでいる銅ペーストの印刷による電子回路形成では、薬品を使用せず、必要な箇所のみ印刷するため、材料の使用量を削減できます。しかし、配線形成時には、300℃以上で焼結※3する必要があり、熱によってプリント基板に反りや劣化が起こる可能性があります。特に積層化や薄型化が求められる先端半導体においては、基板の反りや劣化を極力抑えることが必要です。こうした背景から、焼結温度が低い銅ナノ粒子を用いたペーストの開発が試みられています。
■銅ナノ粒子の課題
銅ナノ粒子には、粒子表面に有機物や酸化銅被膜が存在しており、焼結を阻害します。そのため、水素ガスやギ酸ガスを使用しながら300℃以上で焼結して、粒子表面の有機物や酸化銅被膜を除去する必要があります。この際に使用される水素ガスやギ酸ガスは、可燃性ガスであるため、安全上の管理が難しいことが課題です。
■スケールアップ製造に成功した製品の特長

① 150~200℃かつ窒素雰囲気下での焼結が可能
粒子の表面に還元されやすい特殊な被膜を形成したことで、低温焼結かつ不活性ガスである窒素雰囲気下で焼結できるため、反りや劣化の抑制につながり、安全上の管理の負担も軽減できる。

② 粒径が100nm以下かつ均一
粒径100nm以下で均一に揃っている粒子を、分散技術によってペースト中に分散することで、粒子同士が隙間なく密に並び、焼結後の配線が緻密に形成される。
これらの特長により、本ペーストはプリント基板の積層化や薄型化に対応でき、半導体モジュールの性能向上に貢献します。電子回路形成にペースト印刷を採用することで、フォトリソグラフィによる方法と比べて、銅の使用量が削減できるほか、薬品を使用しないため環境への影響を低減します。
■使用用途
半導体モジュール向け電子回路の配線、半導体チップ用接合材など
■今後の市場への展開
販売においては、グローバルネットワークを有する三菱商事株式会社および三菱商事株式会社のグループ会社であるMC山三ポリマーズ株式会社 (半導体材料をはじめとする化学品を取り扱う専門商社) の販売網と連携して顧客開拓を進めます。
また、本製品を9月17日から幕張メッセで行われる「第4回 ネプコン ジャパン [秋] -エレクトロニクス 開発・実装展-」で、MC山三ポリマーズ株式会社のブースにて出展します。
※1 窒素ガスが主体の環境。
※2 感光性の物質を塗布し、パターン状に露光することで、回路を形成させる技術。
※3 焼成することで緻密に結合させ一体にすること。金属においては、抵抗率を下げ、電気伝導性を高められる。
製品に関するお問い合わせ
ノリタケ株式会社 研究開発センター
TEL:0561-34-5111 FAX:0561-34-4997 E-mail:kaihatsu_b9700@noritake.com
本件に関するお問い合わせ先
ノリタケ株式会社 広報室
TEL:052-561-7110 FAX:052-561-9721 E-mail:koho@noritake.com