従業員エンゲージメントの向上
基本的な考え方
ノリタケは、従業員を企業の財産ととらえ、「人は感激に生き、保守に死す」を中心的な理念として、「果敢に創造的課題にチャレンジする姿勢」を評価・奨励しています。また、「従業員が喜びをもって働ける会社を作っていくこと」を働く環境の整備や従業員のキャリア支援などの基本的な考え方としています。
                良質なワークライフバランスの実現とともに、従業員に寄り添いながら自律的な成長を促す人事施策によって従業員エンゲージメントの向上を図り、生産性向上を通じ、持続的な成長を目指しています。
従業員の心身の健康増進
ワークライフバランスの向上
ノリタケは、従業員のワークライフバランス向上を推進しています。有給休暇取得を奨励するとともに、2023年4月には感染症罹患などの不測の事態に利用できる有給の特別休暇制度を拡充し、安心して有給休暇を取得できる制度環境の整備を行っています。
                        育児や介護などのライフイベントに対しては、休暇・休業制度を整備するだけでなく、育児・介護フレックス勤務制度(短時間勤務またはフルタイム)を設け、活用されています。在宅勤務は、ワークライフバランス実現のための制度として運用を継続しており、通勤負担の軽減、時間の有効活用などに役立っています。
                        また、反復・継続して治療を必要とする従業員をサポートするため、治療支援勤務制度を導入しており、柔軟な勤務シフトの設定によって従業員の治療も支援しています。
ノリタケの平均有給休暇取得日数・取得率
健康経営の推進
ノリタケグループは、従業員の活力が企業活力の源泉と捉え、健康経営宣言を採択しています。社長を最高責任者、コーポレートサービス統括部担当役員を推進責任者、労務人事室を推進主体とし、健康保険組合、労働組合、産業医と連携した体制を整え、従業員とその家族の健康づくりを積極的に進めています。これらにより、3年連続で経済産業省と日本健康会議が共同で認定する「健康経営優良法人※2025(大規模法人部門)」と認定されました。
※ 地域の健康課題に即した取り組みや、日本健康会議が進める健康増進の取り組みに基づき、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業などの法人を顕彰する制度
 
 健康経営宣言
ノリタケグループは、従業員の活力が企業活力の源泉ととらえ、従業員とその家族の健康づくりを積極的に推進していきます。
健康意識の向上を図ります。
健康教育の強化
                        健康を大切にする意識の醸成
心身の健康増進を図ります。
早期発見・早期治療の促進
                        食事、運動、睡眠等の生活習慣の改善支援
                        心身のリフレッシュ促進
働く環境を整備します。
誰もがいきいきと働くことができる環境の整備
体制図
健康づくりへの取り組み
2024年度のノリタケの定期健康診断受診率は100%、有所見率は61.3%でした。疾病の早期発見・早期治療の重要性を考慮し、定期健康診断項目の拡充や人間ドック費用の補助額の増額、さらには婦人科がん検診の全額補助を実施しています。また、健診結果を産業医が確認し、保健師による保健指導や受診勧奨を積極的に行っています。このような取り組みにより、人間ドックの受検率が54.0%(2024年度)、精密検査の受診率は76.1%(2023年度)に達しています。今後も、さらなる受検率向上を目指し、支援を強化していきます。
                        さらには、健康に関する7つの重点項目を設定し、これらの項目に従業員が主体的に参加する「健康チャレンジ」を開始し、生活習慣の改善を促進しています。この取り組みを社内で周知するためにポスターを掲示し、積極的な参加を呼び掛けています。
                        有所見率や喫煙率などは改善が見られる一方で、生活習慣の改善にはつながっていないため、より具体的な施策を通じて、健康状態の向上に向けて取り組んでいきます。
従業員の健康習慣に関する各種数値(%)
また、健康に関する意識調査を行っています。アブセンティーズム指標※1の1年間に病気やけがで休んだ日数という設問の回答では平均「4.3日」、プレゼンティーズム指標※2の仕事の能力発揮度を問う設問では、平均「86.2%」でした。また、ワークエンゲージメント指標※3の活力に関する設問では肯定的な回答が25.7%、熱意に関する設問では肯定的な回答が44.5%となりました。引き続き健康経営を推進し、従業員満足度を高め、個人および組織のパフォーマンス向上に努めてまいります。
※1 健康問題による欠勤
                ※2 健康問題による出勤時の生産性低下
                ※3 仕事に対して活力や熱意を持ち、ポジティブで充実した心理状態を指す
健康リスク低減
ノリタケグループは、健康保険組合と協力して健康リスクの低減に努めています。特に、重症化すると業務に支障をきたす生活習慣病の予防を課題と捉え、特定保健指導の受診率の向上を図っています。
                2020年度に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により受診率が43.2%に低下しましたが、その後3年連続して向上し、2023年度には67.5%となりました。
保険給付費 (ノリタケグループ健康保険組合加入者1人当たり)
特定保健指導実施率 (ノリタケグループ健康保険組合加入者全体)
心の健康管理(メンタルヘルスケア)
新入社員から役職者まで、従業員の階層に応じたメンタルヘルス教育を行い、心の健康向上を図っています。また、ストレスチェックによる組織分析結果を踏まえ、職場改善・研修などを実施し、リスクの低減に努めています。
ストレスチェックの受検率と総合リスク (ノリタケ)
いきいきと働ける職場づくり
人事制度
ノリタケは、2024年4月に人事制度を刷新しました。長期ビジョン実現に向けた組織風土改革の取り組みの一つとして、従業員のチャレンジ精神の醸成とエンゲージメントの向上を図ることを目的としたものです。新制度は「挑戦を促す組織風土の醸成」「多様な人材の活躍推進」「貢献に対して報いる仕組みの整備」を3本柱で設計されています。
                長期ビジョンの視点から「多様性」「成長」「挑戦」「リーダーシップ」「新たな価値創造」の5つをキーワードに期待人材像を描き、人事評価基準にも密接にリンクさせました。基幹職(管理職層)は役割等級制度とし、仕事(役割)と処遇(報酬)の結び付きを強めています。役割等級は組織マネジメントを役割とする「マネジメント職」と高度な専門性を活かして組織に貢献する「プロフェッショナル職」の2つで構成されています。これにより組織マネージャー(役職者)への昇進に限らないキャリアパスを明示することによって従業員の多様なキャリア観に対応するとともに、組織のレジリエンス(強靭さ)に繋げることを狙いとしています。
                また基幹職への登用の最小年齢を30歳に引き下げて(従来は35歳)、優秀者の早期登用を可能とし、若手社員の仕事と成長への意欲の向上にも働きかけています。新制度の導入に伴い定年延長も実施しました。定年年齢を65歳まで段階的に引き上げ、幅広い年齢層の活躍に繋げたいと考えています。
人材育成
ノリタケグループでは、各職場のOJT(OntheJobTraining)を中心に人材育成を進めています。OJTを支えるため、従業員の等級ごとに求められる役割や、課題・問題解決といった仕事の進め方を学ぶ「階層別研修」を実施しています。
                        加えて、職種別(営業、技術、製造)、基盤教育(DX、安全、品質、知財、コンプライアンス、輸出管理、契約審査)など、多岐にわたる専門的な知識やスキルを学ぶ「目的別研修」や、新任役職者を対象とした研修、次期リーダー選抜研修をOFF-JT(OfftheJobTraining)として実施しています。
                        また、自己啓発のための通信教育講座を多数用意し、特に会社が推奨する講座には受講料を全額補助する制度もあります。語学スキルアップや公的資格取得のため多くの従業員が利用しています。
公的資格取得者数および通信教育講座受講者数(人)
 
                        ジョブローテーション制度とキャリア支援
ノリタケでは2022年度から個人の能力開発と組織の活性化を目的とした「ジョブローテーション制度」を導入しており、異動による複数の業務経験を通じた能力開発やチャレンジ精神の醸成を期待しています。合わせて個人の強みや将来展望を上司と共有する「キャリア面談」を実施し、従業員の成長支援を行っています。
                2024年度は、年代別のキャリアデザインワークショップの開催や、キャリア相談窓口を開設し、自律的なキャリア形成を図る取り組みを強化しました。今後は、キャリア形成の実感度/満足度をモニタリングしながら、取り組みを推進していきます。
エンゲージメントサーベイ
ノリタケでは、2023年度からエンゲージメントサーベイを実施し、職場単位で分析した結果を組織改善に活用しています。従業員エンゲージメント向上は人財戦略の重要テーマであり、エンゲージメントスコアをモニタリング指標として継続的に改善していきます。
                2024年度はサーベイの回数を年2回に増やし、各部門が取り組んだ施策の効果を短いスパンで確認できるようにするとともに、部門を超えたディスカッションの場を設けて改善活動の活性化を促しました。
従業員とのコミュニケーション
ノリタケグループでは、従業員への会社方針の周知や教育のため、社内報「魁」を年12回、グローバル社内報「SAKIGAKE」を年4回発行しています。
                また、ノリタケでは、組織風土改革の浸透・定着をさせるため、社長と直接対話するタウンホールミーティングを開催しています。2024年度は30代の若手社員とのミーティングに加え、社長による全国13拠点の職場訪問を実施しました。
                お互いを知ることを目的に延べ1,200人超の従業員と、趣味や仕事の話から職場改善や会社への思いまでさまざまなテーマで活発な対話が行われました。
                また、このようなコミュニケーション活動は各事業部でも行われており、組織風土改革の推進力となっています。
 
                             
                            多様性を尊重する風土の醸成
人々の価値観の多様化や技術革新などによる社会ニーズの変化に対応していくため、ノリタケグループは自らの組織の中に積極的に多様性を取り入れていく必要があると考えています。多様なバックグラウンドを持つ一人ひとりの従業員にとって働きやすく、それぞれの個性が発揮できる環境づくりに励み、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を推進します。
DE&I宣言
DE&Iの推進には、持続的成長のための経営戦略として取り組むことを全社に周知した上で、教育や配置などの施策を行うことが必要であると考え、2024年12月にDE&I宣言を採択しました。
DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)宣言
ノリタケグループは、長期ビジョン「マテリアル×プロセスの独自技術で変化する社会の欠かせない推進役へ」の実現を通じて、社会に新たな価値を提供し、貢献していきます。不確実で先が予測しにくい環境のもとでも、多様な人材を受け入れ、誰もが個のちからを発揮しながら協働することでイノベーションが起こせるものと考えています。そのために、さまざまな制度や職場環境の整備、教育などの取り組みを進めてまいります。
- ●Diversity:一人ひとりの違いを受け入れ、尊重します
 (公正な採用、多様な属性・価値観の受け入れ、多様な働き方の推進)
- ●Equity:個々の能力を伸長、発揮する環境を築きます
 (制度・職場環境の整備、教育機会の提供、自己研鑽、キャリア形成支援)
- ●Inclusion:互いを認め合って協働し、新たな価値を創出します
 (多様性の理解に向けた啓発・教育、挑戦を促す風土の醸成、多様な人材の参画・登用)
DE&I教育
2024年度は、役職者と一般社員のそれぞれに対してeラーニング形式での教育を実施しました。役職者向けには、多様性を活かすマネジメントにより従業員と組織の双方の成長に繋がる状態を目指すこと、一般社員向けには、多様性を理解し互いに尊重し合うことで各自が持つ力を発揮できる組織を目指すことをねらいとした内容で、いずれも9割以上が受講しました。
女性活躍の推進
女性活躍は多様性を尊重する風土づくりの優先的課題と位置づけています。ノリタケでは女性活躍推進法に基づいて以下の「一般事業主行動計画」を策定し、計画を推進しています。
一般事業主行動計画
計画期間:2022年4月1日~2025年3月31日
女性が能力を発揮し活躍できるよう策定した行動計画では、2024年度末に女性役職者を2021年度比25%増とすること、同じく男性従業員の育児休業取得率を50%以上とすること、およびこの目的に資する環境整備の促進を目標に掲げ、取り組みを進めました。
                    2024年度は、新卒採用において、女性限定の説明会やインターンシップを継続し、大卒女性の採用比率の向上を図りました。
                    女性役職者の増加およびキャリアアップに向けた施策として、若手・中堅の女性社員を対象に先輩女性社員との交流会の開催を実施し、課長・次長級の女性役職者を対象に役員メンター制度を実施しました。
                    仕事と育児の両立支援施策として、男女問わず育児を控えた従業員から仕事と育児を両立している従業員までが情報交換を行うイベント「仕事と育児の両立支援ネットワーク」を開催し、参加者から高い満足度を得ています。加えて、育児期のキャリア形成を継続するための施策として、育児休業中に通信教育を受けられる仕組みを整えました。
                    その他、ライフイベントに伴うやむを得ない事情での退職者を対象とし復職希望の登録を行う仕組みを整備しました。こうした各種の施策の結果、女性役職者は63%増(2021年度比)、男性従業員の育児休業取得率は70%超に達しました。
計画期間:2025年4月1日~2028年3月31日
2025年度からは、女性のキャリアアップ支援と働き方の改善を目指し、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画と合わせた新たな行動計画を策定しました。2027年度に、女性役職者数および基幹職者数を2024年度比20%増とすること、有給休暇取得率および男性の育児休業取得率をともに75%以上にすること、働き方の柔軟性を高めることを目標に掲げ、取り組みを進めていきます。
新卒採用に占める女性比率の推移(大卒以上)
男性社員の育児休業取得率
障がい者雇用
障がいを持つ方の入社にあたっては、入社前に、学校・家庭・配属先の上司・採用担当の4者で面談を行い、入社時教育や、職場でのサポート体制などについて取り決めを行っています。また、配属後も、採用担当が本人および職場の担当者を訪ねてフォロー面談を行い、定着を図っています。



