MESSAGE FROM DIRECTORS (OUTSIDE)

社外取締役からのメッセージ

稼ぐ力と高い志がノリタケの未来を築く

社外取締役 藤岡 高広

社外取締役とは、経営の監督という重要な役割を果たしながら、外部の目を通した助言や指摘を行い、最終的に事業の発展に寄与していく立場であると認識しています。私自身、トヨタ自動車と愛知製鋼で合わせて40数年、製造業に携わってきましたので、クルマづくり、鉄鋼づくりの観点から会社の成長に欠かせない知見を提供し、ノリタケグループの目標達成に貢献していく所存です。

第12次中期経営計画で積み残した課題は「稼ぐ力」

我々、メーカーを取り巻く環境は、いわゆる「潮目が変わった」と表現されるくらいの激変が生じています。カーボンニュートラルの達成、AIやデジタル技術の進展、CASEに代表されるモビリティの変化、そして、経営面ではBS経営の実践とサステナビリティ経営の推進など、10年前とは全く異なる状況となっています。メーカーは良品廉価な製品をお客様に安定的に供給してさえいれば良しという時代は終わり、次の成長のために必要な計画や投資を行っていくことも要求されるようになっています。その中でノリタケグループは、2030年を見据えた経営の方向性として掲げたVISION2030「マテリアル×プロセスの独自技術で変化する社会の欠かせない推進役へ」のもと、今後の成長が期待される環境・エレクトロニクス・ウェルビーイングの3分野を成長領域と定めて、第12次中期経営計画の基本戦略「収益基盤の強化と成長領域の仕込み」に取り組みました。しかしながら、最終年度の2024年度の結果は全事業において利益目標を達成することができませんでした。その最大の要因は、「稼ぐ力」をいま一つ伸ばすことができなかった点にあると私は分析しています。
メーカーはお客様のお役に立つ良品な製品をタイムリーに供給して、初めて評価されます。お客様に接する営業部門が、お客様がいったい何によって困っているのかを明確にし、技術・開発部門が自社で持っている技術や知見を駆使してそれを解決することで、お客様のお役に立つ企業でいなければなりません。さらに、収益力と競争力を両立する価格で販売するためには、製造部門が「ムリ、ムダ、ムラ」を取り除くノリタケ生産方式を確立し、日々改善を行い、原価低減に努めないといけません。そういった取り組みが「稼ぐ力」に直結します。すでに三好事業所でデジタル技術や、TPS(トヨタ生産方式)を活用したラインの整流化に取り組み始めましたが、省人化を進め、ものがスムーズに流れるラインを、全社で実現していくことが必要です。そして、何よりも重要なのは、目標に対する達成度を都度確認し、しっかりとフォローし合う会社の組織風土です。これらすべてを実現する決め手は、製造、技術、販売に関わる部門から管理部門まで全従業員が自分たちで策定した年度計画、中期経営計画を「絶対に達成する」という強い意志を持ち、努力を続けることにあります。

第13次中期経営計画の必達はノリタケの生命線

2025年度から第13次中期経営計画がスタートしました。これは、第12次中期経営計画で明らかになった課題である「稼ぐ力」を伸ばすとともに、「成長基盤の確立」をスローガンに、強固な収益基盤の構築と成長加速に向けた投資を推進し、経営基盤の高度化に取り組んでいくものです。2027年度は連結売上高1,575億円、連結営業利益135億円、ROE9%以上、PBR1倍超えを目指しており、2024年度の売上・利益の水準からすると、非常に高い目標に向かっていく意志が表れていると思います。中期経営計画で掲げた目標とは、会社から株主をはじめとするステークホルダーへの約束ですから、今回の第13次中期経営計画の必達はノリタケの生命線であると認識しています。ノリタケグループは、食器製造で培ったセラミック技術をベースに、工業機材、セラミック・マテリアル、エンジニアリングと事業ポートフォリオを見事に拡充しており、人材も豊富ですので、このような高い目標に果敢に進んでいける力を十分備えていると思っています。
創業者である森村市左衛門は、国民の生活を豊かにするという高い志を持って森村組を創業し、ノリタケの前身である「日本陶器合名会社」創立の際には「誓って 至誠事に当り 以て素志を貫徹し 永遠に国利民福を図ることを期す」と宣誓しました。この言葉にあるように、高い志を持ち、諦めずに物事に向き合い続ける姿勢と当事者意識を胸に、全員で心を一つにして果敢に進むことが一番重要です。ノリタケグループが、自身が持つセラミックス技術で、産業をリードし、ひいては国を支えるような企業としてさらに成長していくことを期待しています。

「人を中心に据えた経営」に真摯に向き合い、持続可能な成長に繋げます

社外取締役 船引 英子(新任)

このたび社外取締役に就任するにあたり、人事コンサルタントとして人と組織に向き合ってきた経験と、マネジメントの一員として組織運営に携わってきた知見を活かし、企業価値向上の追求を通じ、微力ながら当社の未来に貢献してまいりたいと考えています。
社会や産業構造がかつてないスピードで変化する中、企業には、環境変化に適応するだけでなく、自ら変化を創り出す主体性が求められています。その原動力となるのは、社員一人ひとりが自律的に考え、挑戦する姿勢です。そうした人材が育ち、活躍できる組織こそが、時代のうねりの中でもしなやかに進化し、発展し続けられると確信しています。
社外取締役としては、「独立役員」であることの意味を常に意識し、企業の内外を繋ぐ視点から、経営の意思決定に多角的な視野と健全な緊張感をもたらす役割が求められていると認識しています。ガバナンスとは、企業が社会とどう向き合い、どのように信頼を築いていくかを見つめ直し、より良いかたちへと進化させていく営みであり、その過程に誠実に関与してまいります。
ウェルビーイングの視点では、社員が自らの可能性を信じ、能力を活かして挑戦する意欲が自然に芽生える状態に至ることが、真の充実をもたらし、企業の活力や創造性を高めるものと考えます。現場との対話を基に、多様な価値観を尊重しながら、協働と共創を通じて持続可能な成長を支える「人を中心に据えた経営」に、真摯に向き合ってまいります。
歴史と誇りある当社が、DXやCXを通じて、伝統を大切にしながらも柔軟に、そして楽しみながら変革を推進する企業であり続けるよう、社外からの視点で社会や市場の期待に向き合い、経営陣とともに、持続可能性と企業価値の向上に取り組んでまいります。

研究開発の経験を活かし、企業価値向上に貢献します

社外取締役 唯 美津木(新任)

2025年6月の定時株主総会を経て、ノリタケ株式会社の社外取締役に就任いたしました。私はこれまで、大学や研究機関において、触媒、燃料電池、無機材料を中心とした化学・マテリアル分野の研究開発、高等教育に従事してきました。サステナブルな社会の実現に向けた触媒反応やエネルギー変換の研究開発を通じて産業界との連携も深め、セラミックスなどの当社のコア技術と親和性が高い分野で、研究開発の経験を有しています。
近年、地球規模でのカーボンニュートラルの実現や省エネルギー化、資源問題への対応など、社会課題がグローバル化しており、社会的要請に応える材料開発や技術革新がますます重要になっています。時代をリードする材料開発や技術は、変化する時代を先駆ける企業の持続的成長の礎であると考えます。これまでの研究開発経験を活かし、当社の技術力強化や新規事業創出に貢献してまいりたいと存じます。
また、私は、女性研究者の育成、女性が働きやすい職場環境の構築などのダイバーシティ推進にも携わってきました。ダイバーシティ推進は、急速な社会情勢や価値観の変化に柔軟に対応し、多様な視点から新たな価値を生み出す原動力になると思います。少子化が進む中、優秀な人材がいきいきと能力を発揮できる仕組みの構築にも貢献していきたいと考えております。
社内外の多様な意見を尊重しながら、客観的かつ専門的な立場で経営の健全性や将来性を検証し、より一層の企業価値向上に貢献してまいります。そして、研究現場で培った課題発見力や解決力を活かし、社会に貢献する技術や製品を生み出す基盤づくりを支援していく所存です。

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