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2025年5月19日
ノリタケ株式会社
「ダイヤモンド-ニッケル放熱基板」で1200 W/(m・K) の高熱伝導率を達成
ノリタケ株式会社 (本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:東山 明、以下 ノリタケ) は、高速通信 (5G、6G) 向け半導体用に、効率的に熱を逃がし、性能の低下や故障を防ぐ役割を果たすことが可能な、熱伝導率※1が高いダイヤモンド-ニッケル放熱基板※2の開発を進めており、このたび、熱伝導率1200 W/(m・K) を達成しました。
■市場環境
現在、普及が進んでいる通信規格5Gをはじめとする高速通信では、高速・大容量でのデータの送受信が可能になるため、さまざまな通信サービスの利便性が向上します。これに伴い、基地局やデータセンターなどでは、大量のデータを伝送可能な次世代半導体を用いた通信デバイス※3の使用が拡大しています。通信の高速・大容量化に伴い、半導体からの発熱量が増加していますが、半導体の安定動作および長寿命化のためには、熱を速やかに逃がすことが可能な、熱伝導率が高い放熱基板が求められています。
また、半導体に実装される放熱基板の製造では、一枚の放熱基板から複数の放熱基板を切り出すため、基板サイズを大きくすることで生産性が向上し、製造単価を抑えることができます。
■ダイヤモンドを放熱基板の素材として使用する際の課題

熱伝導率が高い (1000~2000 W/(m・K)) ダイヤモンドは、大量の熱を速やかに逃がすことに適しており、放熱基板の素材として期待されています。しかし、ダイヤモンドを合成し、大きな基板サイズにするためには多大な製造コストと長い時間を要します。そのため、ダイヤモンドの高い熱伝導性を活かしながら、基板サイズを大きくすることが求められています。
■高熱伝導率「ダイヤモンド-ニッケル放熱基板」の特長
ノリタケは、研削工具の製造で培っためっき技術※4を応用し、ダイヤモンドをニッケルで高密度に結合させることにより、高水準の熱伝導率でありながら、大きな基板サイズを両立した放熱基板の製造に成功しました。

①1200 W/(m・K) の高熱伝導率
「高密度単層配列」により、ダイヤモンドの高い熱伝導率を最大限活かすことに成功。結合に使用するニッケル (70 W/(m・K) に熱が通る際の抵抗を最小限に抑えた。
②基板サイズ100×100mmの試作に成功
めっき技術により、基板サイズの大きさと高い熱伝導率を両立した。
■ノリタケ品と他社品 (ダイヤモンドを素材とした放熱基板) との比較
<社内試験の結果>

※1 物質の熱の伝わりやすさを表す物性値。数値が大きいほど熱が伝わりやすい。
※2 半導体などの発熱体から熱を効率的に逃がすために使用される基板。
※3 主にコンピューター上で、情報の発信や受信を行うために使用される機器。
※4 金属や非金属の表面に、金属の薄い膜を形成する加工技術。
試作品に関するお問い合わせ
ノリタケ株式会社 研究開発センター
TEL:0561-34-5111 FAX:0561-34-4997 E-mail:kaihatsu_b9700@noritake.com
本件に関するお問い合わせ先
ノリタケ株式会社 広報室
TEL:052-561-7110 FAX:052-562-9721 E-mail:koho@noritake.com